犬猫の誤食・誤飲について①
2024.2.5 -[お知らせ]
皆さんは犬や猫が食べてはいけないものをご存じですか?
犬や猫は気になったものを舐めたり口に入れたりする習性があります。特にクリスマスなどのイベント事の時期には動物にとって珍しいものや食べ物が多いので誤食には注意が必要です。
・ぶどう、レーズン(干しぶどう) 🍇
秋の果物として有名で人気があり、食卓に並ぶことも多い「ぶどう」ですが動物にとっては少量でも中毒症状が起き、体調を崩してしまう可能性があります。特にレーズンはぶどうよりも少量で中毒症状を起こす可能性があるので非常に危険です。
~症状~
ぶどう中毒の症状としては、「急性腎障害」「嘔吐」「元気食欲の低下」「下痢」「腹痛」などが挙げられ、特に「急性腎障害」の症状が悪化した場合命に関わることもあります。そして、嘔吐や下痢など目に見えてわかる変化だけでなく、腎臓など内臓面への症状が悪化している場合もありますので体調に問題がないように見えても注意が必要です。
~中毒量~
このような中毒症状をもつぶどうですが、原因や中毒量が明確に定まっていません。体重や摂取量、個体差などによっても変わってしまうのでご注意ください。
また今回、「ぶどう」と「レーズン」を例に挙げましたが、ほかにも長野県でもよく採れる「マスカット」でも中毒症状がみられる場合があります。
ごく少量でも中毒症状が起きる可能性がありますので動物の届く場所やおやつとして与えてしまわないよう注意していただくようにお願いします。
・チョコレート 🍫
皆さま、甘いものはお好きでしょうか?2月にはバレンタインなどもあり、テレビでも取り上げられることの多いチョコレートですがこちらも動物には危険な食べ物の一つに挙げられます。
チョコレートの誤食は犬の方が多い傾向にありますが、猫でも中毒の危険性がありますので注意していただければと思います。
そしてチョコレートだけでなく、原料のカカオを使っているココアなども同じく危険な食べ物になります。
チョコレートには中毒を起こす「テオブロミン」のほか、「カフェイン」も含まれており、人でも聞くことのあるカフェイン中毒を起こすこともあります。よりカフェインが多いものとして「コーヒー」「紅茶」「お茶類」「コーラ」などの身近な飲み物は、よりカフェイン中毒を起こす危険がありますのでこちらも誤飲しないように気を付けていただければと思います。
~症状~
カフェインを摂取した際は約2時間以内、チョコレートを誤食した場合は約2~4時間以内に症状がでるとされています。
チョコレートは少量でも「嘔吐・下痢」や「落ち着きがなくなる」「水をたくさん飲む」などの症状がおこることがあり、中量で「異常に興奮する」「脱力」「頻脈」「震え」といった症状が出ることがあります。
また多量に摂取すると上記に加え、「高血圧」「不整脈」「チアノーゼ」「痙攣」といった症状がおこることがあります。このような症状があった場合早急に対応しないと命に関わることがあります。
~中毒量~
ミルクチョコレートやダーク・ハイカカオなど種類によっても中毒量は変わってきます。今回はミルクチョコレートを基準としていますがダークチョコレートやハイカカオのチョコレートの場合は下記の表記より少ない量で中毒症状を起こす危険性がありますのでご注意ください。
テオブロミン… 犬・猫1kgあたり約20mg~
カフェイン… 犬・猫1kgあたり約20mg~
市販の板チョコは1枚50gほどで、その中に少なくとも約110mg中毒物質が含まれているため5kgの動物でも1枚食べてしまうと体調を崩してしまう可能性があります。
※あくまで目安ですので表記以下の量でも中毒症状や体調を崩すことがあります。また、個体差もあるため一概に中毒量以下でも症状がでないとは限りません。
ホワイトチョコレートの場合カカオ成分がほとんど含まれていないためチョコレート中毒の危険性は少ないとされていますが、ホワイトチョコレートを含む多くのチョコレート製品には脂肪分が多量に含まれているため、下痢嘔吐などの消化器症状に加え膵炎などを起こす可能性がありますのでご注意ください。
・ネギ類 🧅🧄
「タマネギ」をはじめ「ニンニク」「ネギ」「ニラ」などよく料理にも使われる食材ですが、これらも動物にとっては危険な食べ物で、調理中に落ちてしまったものや目を離した隙に誤食してしまうこともあります。また、加工・加熱したもの(スープや人用のサプリメント)なども危険性は変わりません。特に「ニンニク」などは見た目上入っているように見えないことも多いためご注意ください。
それに伴い、「タマネギ」や「ネギ」そのものを誤食した時と同様に、調理済みの総菜などの誤食時も注意が必要です。
~症状~
犬や猫では「嘔吐」「下痢」「腹痛」「食欲不振」などの消化器症状のほか、「沈うつ」や「動きたがらなくなる(運動不耐性)」ことがあります。
摂取後さらに時間が経つと「血液の溶血」がおこることによって「貧血」になり、症状が進むと貧血により「可視粘膜の蒼白」や「脱力」「頻呼吸」「頻脈」「黄疸」「尿の色が濃くなる(ヘモグロビン尿症)」などがみられ、重篤な場合は命に関わることもあります。
~中毒量~
今回はご紹介したネギ類の中でもタマネギについての中毒量になります。そのため、他の種類とは中毒量の違いがありますのでご注意ください。
・イヌ …1kgあたり約15~30g
・ネコ …1kgあたり約5g
誤食した野菜の大きさにもよりますがタマネギ1つあたり5kgのイヌで約1/3の量、同じく5kgのネコで約1/8の量で症状が出る可能性があります。
※あくまで目安の量になります。体重や摂取量、個体差などがありますので明確な基準値は定まっておりません。表記以下の量でも十分ご注意ください。
また、前述したように加熱・加工済みであったり、スープなど調理済みのものであっても有毒です。誤食した場合は、摂取量が不明なことが多いと思いますので少量の誤食であっても十分ご注意ください。
🔸もし誤飲・誤食してしまったら
もしも、誤飲・誤食してしまった際は、まずかかりつけや近くの動物病院にご連絡ください。
その際に「いつ」「なにを」「どのくらいの量」食べてしまったかといったことを優先してお伝えいただければと思います。ほかにも、「体重」「犬種」「既往歴」「包装しているものも食べた」などわかる範囲でお伝えいただけると来院時により早く対応させていただけると思います。
また、留守の間に誤食してしまったなど、時間帯や食べてしまった量などが不明な場合や、摂取後時間がたってしまいすでに下痢・嘔吐やぐったりしているなどの症状が出ている場合は、今の「状態」「症状」などを伝え、早急に動物病院に受診していただければと思います。
🔸さいごに
今回ご紹介した物のほかにも危険な食べ物や植物、衣類や子供のおもちゃなど誤食してしまうと中毒を起こしたり、胃や腸など消化管を傷つけてしまうものもあります。
そういったものも含め、誤飲・誤食は対応が早ければ体調にも大きな問題が出ることが少なくなりますが、「食べてから時間がたってしまった」「数時間~1日様子を見た」など対応するまでの時間が遅れてしまえばそれだけ重症化したり命に関わることが増えてしまいます。
誤飲・誤食の予防としては、動物の届く場所に危険なものを置かないようにして誤食すること自体の可能性を低くすることがとても重要になります。
そして、もし誤飲・誤食してしまった際には、焦らず適切に対応していただければと思います。