歯周病について
2024.1.19 -[お知らせ]
今回は歯周病についてお話しします!
歯周病はワンちゃん・ネコちゃんの口腔内の病気のなかで最も多い疾患となり、2歳までのワンちゃんで80%、ネコちゃんで70%が何らかの形で歯周病に罹患していると言われています。
また、早ければ生後9か月頃から始まる可能性があります。犬種によっても発生率に違いがあり、小型犬の方が大型犬に比べて歯と歯の隙間が小さくなっており、唾液による自浄作用が働きにくいため、歯周病になりやすいと言われています。
アメリカで約237万頭のワンちゃんを対象に行われた研究では、歯科処置(スケーリング)を年1回実施することによって死亡リスクを18.3%低下させるという報告があります。
歯周病(辺縁性歯周疾患)の症状
歯周病は大きく分けて歯肉炎と歯周炎に分かれます。
・歯肉炎
歯肉に限局した炎症で、歯肉の発赤、出血、過形成、歯肉ポケットの形成が認められます。原因の除去を行うことによって炎症の消失がみられる可逆的な変化ですが、放置すると歯周炎へと進行します。
・歯周炎
歯肉以外の歯周組織にまで炎症が及んだ状態を指し、歯槽骨や歯根膜の喪失を主とする進行性・破壊性の疾患です。歯と歯肉の上皮付着部が破壊されることによって歯周ポケットが形成され、炎症が進むにつれ深く進行していきます。
症状としては歯肉の退縮、出血、腫脹、動揺、違和感による食欲低下などが認められます。
これらの歯周病は歯周組織における歯垢(プラーク)に含まれる歯周病関連細菌による炎症性反応とされています。
また、歯垢・プラークが唾液中に含まれるカルシウムなどにより石灰化したものを歯石といいます。歯石には直接的な病原性はないとされていますが、表面にはプラークが付着しやすいため、間接的に歯周病の進行に関与している可能性があります。
プラークに含まれる細菌はバイオフィルムを形成し、これにより、抗菌薬や免疫細胞による効果が弱まってしまいます。そのため歯周病の予防・治療ではプラークなどを物理的に除去することが大切になってきます。
・治療法
上でもお話ししたように、歯周病の治療にはスケーリングやポリッシングによる歯石・歯垢の除去が行われます。
ネコちゃんの場合、口腔内の炎症が歯肉炎や歯周炎にとどまらず、粘膜下まで広がっている場合があり、その場合は全臼歯抜歯や全顎抜歯が行われる場合があります。また、補助的に内服などによる治療を行う場合もありますが、これらは症状を抑える治療であり根本的な治療にはやはりスケーリングなどの歯科処置が必要となります。
・予防法
歯周病はご自宅でのケアを行なっていくことで予防を行っていくことができます。
その中でもハミガキが最も効果が高いとされていますが、触らせてくれない子も多いと思います。その場合は無理にハミガキから始めるのではなく、お口を触るところから始めていくと良いかと思われます。
おやつなどを使い口や歯を触られることに慣れていくことが重要です。ある程度触らせてくれるようになったら口を開けて歯に触る、歯ブラシを歯に当ててみる、などとゆっくり進めていくことがポイントになります。
ただ、それでもお口に触れないという子ももちろん居るとは思います。そんな時は無理にハミガキに拘るのではなく、デンタルガムやデンタルトリーツ、液体のデンタルケア製品などを使っていくのも1つです。
最後になりますが、歯周病は皆さんが思っているよりも身近な疾患の1つになります。上で述べたようなケアをご自宅でもおこなっていけるとより良いと思います。
ただし、これらのケアでは今付着している歯垢・歯石の除去は難しいと言われています。また歯周病が起きている場合痛みを伴っている場合があり、その状態でデンタルケアを始めると触られると痛いためより触らせてくれなくなってしまう場合があります。
その場合は歯科処置・スケーリングなどによる歯垢・歯石の物理的な除去を行った上でデンタルケアを開始していくことで痛みや違和感を軽減してあげることが出来ます。
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